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〔武田軍:子孫、完結編〕


「………」

「やはり、体を動かした後はコレでござる!そうは思わぬか湊殿」

「うむ。甘味の中では団子が一番美味いでござる」

鍛練の後、幸村が佐助を使いに出したから何かと思えば…。

泉は目の前に出された団子の山に開いた口が塞がらなかった。

旦那、口調が移ってるし。

「あらら、湊の旦那も団子が好きなの?」

お茶を入れながら佐助が聞く。

「好きだぞ。でもあんまり食べると泉がうるさいからな」

恐る恐る手を伸ばす湊の視線の先にはぼぅっとしている泉。

「ならば今のうちに食べるでござるよ」

ひょい、と一本とって幸村は湊に渡す。

「駄目だよ旦那。泉だって湊の旦那を思って言ってるんだろうし」

はい、と佐助に湯飲みを渡され泉は覚醒する。

「幸村様、旦那を甘やかさないで下さい。旦那も団子は一日五本って言ったでしょ?」

「泉…」

「そんな顔しても駄目。ご飯が入らなくなるでしょ」

きっぱり切り捨てられ、湊は項垂れる。

「泉、今日ばかりは某に免じて許可して頂けないだろうか?」

湊の落ち込みように幸村が口を挟む。

「うっ…」

そう言われると、と泉は考え込んでしまう。

「まったくしょうがないな。それなら明日の分を繰り上げて今一緒に食べるってのは、ど?」

見かねた佐助が泉に助け船を出す。

つまり明日の団子は無し、と。

「それなら」

考え抜いた後、泉は許可を出した。

その後、信玄が顔を出し、山となっていた団子はあっという間に消えた。

思わず現れた強敵に、明日の団子は無しだと約束させられた二人は肩を落としたとか。

その様子を忍二人が茶を啜りながら見ていた―。



end.


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